特別支援教育的な指導の具体例

特別支援教育の視点があれば、

「こんなことは言わなくてもわかるか」という訓育的指導にはならない。

 

不注意な子がいることを前提にすれば

まず集団に対して注意を喚起し、何をすべきかをその子にもわかりやすく明確に指示する(一次的支援)

 

指示が通らず、すぐにおしゃべりしたりちょっかいを出したりする子がいれば

集中維持が弱いと考え、

短いスパンでゴールを示し、即時にフィードバックする(二次的支援)

 

席を立って飛び出してしまう子には

目標を決め、望ましい行動が取れたらシールを貼ったり、

「〜したら〜してもいいよ」等の約束をして、

自分のために頑張れるように支援する(三次的支援)

 

怒りのコントロールが弱い子がいたら、

その子を念頭に置いたSEL(アンガーマネジメント学習など)を事前に行う。

 

ASDで対人関係面に支援ニーズがある子がいたら(三次的支援)

「この子はどんな気持ちだろう」という問いかけは漠然としていて難しいため

他の子の発言を活かしながら、表情のどこを見れば「気持ちの読み方がわかるか」を示す。

また、「こんなとき、あなただったらどうする?」という問いも、想像力が必要になるため

相手の立場に立つ視点取得が未熟であれば難しい。

そのため、イラストよりも、写真や実際の表情の方が理解しやすい子もいる。

対処行動を発言させるだけでなく、ロールプレイングの中で「言われる側」に立って感じてもらう。理屈ではなく体験的に学ぶように組むとよい。

 

さらに、

勝ち負けのある活動をする際には

事前に「負けたらどうするか」を考えさせたり、

イライラした子たちと表情ポスターの前で考え合ったりすることで

一次的支援のSELで学んだことを日常生活で使えるように育てていく(二次的支援)

 

けんかの後の振り返りも、

本人の話を聴きながら絵に書いたり、

感情語彙リストから言葉を選ばせたりすることで

状況認知や感情表現そのものを育てていく(三次的支援)

 

適切な行動を促す方法としても、

ルールやしてはいけないことを表示するよりも、

こういう行動を取ろうというポジティブな行動目標を提示していく。

望ましい行動を具体的に示され、それを称賛されることで、不適切な行動が減っていく。

 

 

特別支援教育の視点に立った指導を行うことで

子どもの自己教育力が高まることが期待される。

 

 

 

参考

髙橋あつ子(2008)「授業のユニバーサルデザイン化ー学習支援のポイント」月刊学校教育相談3月号