養護教諭の活動過程、全体の流れ
養護教諭の活動過程は、大まかに5つです。
1)問題の受理
・児童生徒の訴え
・傷病の発生
・保護者や担任などからの相談や情報提供
・健康診断などの学校保健情報からの気づき
これらのことから問題を受理します。
2)情報収集とアセスメント
(1)緊急度の判断
まず、緊急度の高い症状や徴候がないかスクリーニングを行います。
緊急度が高い場合は、迅速に
・救急車の要請
・医療機関受診の手配
・救急車や医療機関につなぐまでの救急処置
・校内連絡など を行います。
症状や徴候がある場合は、フィジカルアセスメントを中心に
・意識、バイタルサイン
・発症時期、部位、性状 を確認します。
けがなどによる外傷であれば、
受傷機転についても迅速に収集します。
*受傷機転とは、外相を追うに至る原因や経緯のことです。
いつ、どこで、どのようにして、どんなもので、けがをしたか確認します。
(2)ヘルスアセスメント
スクリーニングの結果、緊急度がそこまで高くないと判断した場合は、系統的アセスメントを行います。
頭から爪先まで、体全体を診るつもりで行います。
ヘルスアセスメントは
・身体的側面(外傷や疾病の可能性など)
・社会的側面(ソーシャルスキル、人格形成や発達課題など)
・生活習慣の側面(発達段階に相応しいか、健康的かなど)
について情報収集します。
まずは身体的側面について傷病の存在を見落とさないことが重要です。
一方で、身体症状を訴えながらも、その背景に、心理社会的な要因を認める場合があります。
その際は、健康相談のプロセスへ移行します。
(3)養護診断
養護診断とは、
養護教諭がその専門性を発揮して、児童生徒やその集団について、様々な情報を収集しアセスメントを行った結果、心身の健康状態や発育発達の状況等について総合的に査定(判断し決定)すること
と定義される。
アセスメントで収集した情報のそれぞれが正常範囲かどうか、
緊急度の高い状態かどうか などを総合的に吟味する。
その結果、養護診断として
・緊急度の高い傷病の可能性
・緊急度は高くないが傷病の可能性
・このままの状態が継続すると傷病に発展する可能性
・発育・発達上に課題のある可能性
・人格形成に影響を及ぼす可能性
・生活上支援が必要な状況
などを見極め、解決・支援すべき問題や課題の有無を判断する。
(4)養護計画の立案
養護診断の結果、優先順位の高い課題から対応・解決策を検討する。
主に下の5つがある。
・緊急対応
緊急度に応じて救急車の要請や医療機関受診の手配を計画する。
・救急処置
重症化や二次損傷の予防、痛みの緩和など安全や安楽に配慮した処置を計画する。
・保健指導・助言
児童生徒に対する保健指導や、保護者への助言についての内容、それを行うのに相応しい時期等について計画する。
・連携・協働
保護者や担任、専門家、関係機関などとの連携・協働について計画する。
・事後措置
いつ、何について、誰に対しての事後指導・事後措置が必要かを考えて計画する。
(5)養護実践・評価
養護実践は、養護教諭が目的を持ち意図的に行う教育活動と定義されている。
計画を実行し、その全体を評価します。
養護実践は、個々の児童生徒のみならず、学級や学校全体など集団を対象にしても行われます。