協同学習

協同学習の特徴について

 

背景

従来から、子どもたちが主体的に学習に取り組むために、

本時のめあての工夫、板書計画の工夫、発問の工夫などがなされてきた。

平成20年告示の学習指導要領では、新たに「言語活動の充実」が加えられた。

 

言語活動は、学習の協同場面で子どもの相互作用として行われるものである。

 

協同学習のねらいは、

子どもが主体的に学習に取り組むことができる環境を整えることによって

協同場面における「言語活動」を促進すること。

その言語活動を通じて、子どもの主体的な学習の態度を促すことにある。

 

 

協同学習成立のための要件:3つの焦点

1)相互の協力関係などコミュニケーションを促進する仕掛け

 ・自分がやらないと仲間が成功できず、仲間がやらないと自分が成功できないような関係(相互協力関係)

 ・子ども同士が顔をつきあわせて行う相互活動(対面的ー積極的相互作用)

2)個人の責任を意識すること

 ・各メンバーの努力が査定されるなどして、グループの他の仲間の成果に「ただ乗り」できないこと(個人の責任)

3)ソーシャルスキル等のスキル教育 ←これを特に重視する

・協力に必要なスキルを教え、使うように励ますこと(対人機能の適切な奨励・訓練・使用)

 例:話している人を注目しよく聴く、仲間の参加を促す、名前を呼ぶ、自分の気持ちを述べる、他のメンバーの発言をわかりやすく言い換える など

・どうすれば自分達の取り組みがもっと良くなるか、そのためにグループでの活動を振り返る(グループの改善手続き)=教師は子どもたちの取り組みにフィードバックを与える

 

 

協同学習の5つのステップ

①授業の準備やねらいを説明する

・ここに行動上のねらいも示す

 「グループ全員が納得する結論を出しましょう」「解き方をメンバーに説明しましょう」

②協同場面(1回目)

・個人で考えた後、グループで考える

・授業の基礎づくり的な内容を扱う。アイデアを出したり、基礎問題の確認をしたりする

③講義

・短時間で、説明しすぎない

④協同場面(2回目)

・やや難しめの問題に挑戦する。

⑤授業のまとめ

・学習内容がわかったか振り返る時間ではなく、

 行動上のねらいが達成できたか、学ぶ集団として自分たちはどうだったか、

 何が集団を良い方向へ導いたか、成長するために何が必要なのかを振り返らせる

 

<ポイント>

・まず子ども同士でペアやグループのメンバー構成について確認する。

・個人思考の場面では、ノートなどを見直させる。考えのメモを作成してもよい。

・グループ思考の場面では、自分の考えたことについてメンバーに説明を行う。

協同学習では、個人思考とグループ思考をしっかり分けることが重要である。

 

協同学習の手法いろいろ

◯シンク=ペア=シェア (バークレイ, 2009)

◯ジグソー学習  (沖林, 2010)

◯経験の振り返り

 

参考

バークレイ(2009)「協同学習の技法ー大学教育の手引き」安永訳

沖林(2010)「協同学習」森・青木・淵上編