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何をどうアセスメントするのか
教育相談と生徒指導は、主に心理的発達と社会的発達の領域をカバーする。
心理的発達が、社会的発達の基盤となる。
MLAでは、日本人の特質を生かして
「よい個が育つ集団を育てる」ことを強調している。
一人一人の子供だけでなく、
子ども集団の心理的発達の段階、社会的発達の段階を的確に把握することが重要。
*アセスメントをする際に、問題行動や状況だけに目が向いていると、子どもや集団の抱える本当のニーズに気づけないことがある。表面上は問題がなさそうな子どもや集団が、実はニーズを抱えているというケースも実際には多くある。そのため、多様な情報をもとにして子どもの状態を多面的に、客観的に理解することが必要。
使用できる指標
・日頃の子供とのやりとりや家庭訪問・観察等からの情報
・遅刻や欠席回数と理由 ・保健室来室頻度
・学校生活での様子 ・学習成績 ・学校適応感尺度
・種々のアンケート ・発達検査 ・専門家による診断結果
これらの情報をもとにして、現象(問題行動や適応感など)だけではなく
その背景となる心理面(生育歴・家庭環境などからくる愛着や欲求の状態)や
発達面(認知・学習・行動面の特性など)を把握していく。
MLAでは「アセス」という調査を用いている。
これらの情報から、子どもの状態を判断するのに必要なのが、理論や知識である。
前回の例:立ち歩きを考えると
問題行動の中核は、「授業中に立ち歩く」「指導が入らない」こと。
愛着理論:家庭での関わりはどうか
欲求理論:家庭や学級での社会的欲求はどこまで満たされているのか
発達面:その子の認知面・行動面などの発達的特性に苦手さはないか
さらに、援助ニーズに加えて、「支援リソース」を把握する。
友人の存在、興味のあること、学校が好きで学級にいること=リソースになる。
子どものレディネスがどこまで整っているのかを把握する。
レディネスが整っていなければ、カウンセリング的な関わりをもとに子どもの気持ちを受容し、理解し、子どもの支援ニーズに応じてUDL(学びのユニバーサルデザイン)や安心・安全な学級づくり、友人・親・教師・地域からの支援などを通じて、レディネスを整えて指導を入れていく。
事例メモ。
A子は、大人とばかり関わろうとする=交流欲求が満たされていない可能性がある。
「どうせ・・」という発言が多い=愛着形成が不十分なことで自己肯定感が低く、他者への信頼感が薄い可能性がある。
思いやりの言動はよく見られる=向社会的なスキルはあるようだ。しかし、安心できる特定の関係でしか発揮できていない。
A子の学級は、教師サポートが高い=教師が直接支援しており、生徒同士の関わりが少なくなっている。三次的生徒指導が中心になっている。
A子が安心して関わる機会を増やすことで、向社会的スキルの高さを活かし、友人関係を広げていくことができた。(不足している場合は、社会的スキルの習得から行う必要がある)