MLAの基礎理論
MLAが基礎とする代表的な理論は5つです。
1 ソーシャルボンド理論 MLAはソーシャルボンドを築く。
2 社会的欲求理論
3 オペラント条件付け
4 愛着理論
5 SL理論
1 ソーシャルボンド理論
Tハーシ(2010):人間を社会集団に結びつけているものをソーシャルボンドと呼んだ。
以下の4つで構成される。
①アタッチメント(愛着):集団を取り結ぶ情緒的絆
②コミットメント集団から得られる利益を考慮して一種の投資として同調すること
③インボルブメント(巻き込み):日常生活のさまざまな活動に参加している度合い
④規範観念:社会の基本的な価値観
この理論では、これらの絆が、人が社会からドロップアウトするのを防いでいると考える。
2 社会的欲求理論
M・トンプソンら(2003):社会的欲求には、次の3つがある。
①交流欲求 豊かな情緒的交流
②承認欲求 ほめられる場面
③影響力欲求 活躍の場面
これらがあることが重要になる。これらの欲求が満たされる時、学級は温かく、生き生きとした雰囲気になる。満たされなければ、子供たちは問題を起こしてでも交流や承認を求め、影響力を発揮しようとする。
3 オペラント条件付け
「ちょっとした肯定的変化」に着目して即時的に強化刺激を随伴させ、良い行動を増やし、問題行動を相対的に減少させるという考え方をする。
*叱ってもやめない、褒めても拒否する場合の対応について
①その子が望ましい行動に習熟していないケース
=教える。やってみせ:モデリング、言って聞かせて:言語表示、させてみせ:リハーサル、褒めてやらねば:強化、人は動かじ。
②その子にとっては叱責が交流欲求を充足する強化刺激になっているケース
=問題行動時の関わりを減らし、「普通の時」にしっかり関わる。
問題の子ばかりに手をかけると、学級崩壊を招く可能性を高める。それは普通の子供への関わりが薄くなり、彼らが良い行動をしていても、強化刺激である賞賛や注目が随伴しないため、良い行動が消去されてしまうから。真面目にやっている子を大切にすることが大事。
4 愛着理論
J・ボウルビィ(1976):養育者との初期の愛着関係は内在化して、他の人々との関係の原型となる。
母親と愛着形成できた子供は、自己と他者に対する肯定的イメージがあるため、他の人との間にも愛着関係を結びやすい。人間関係もうまくいく。
愛着形成が不十分な子供は、ネガティブな自己や他者イメージを保つため、その後の人間関係の形成を難しくする。
社会性の発達の基盤にパーソナリティの発達があり、さらにその基盤に愛着の形成がある。
米澤(2014):幼児期(3歳まで)の愛着形成がうまくいかなかった場合でも、”難しくなるが間に合う”。生母だけでなく、父、祖父母、保育士、教師、支援者等、「誰でも担うことができ」「いつでも修復できる」としている。例)イギリスのナーチャーグループ
5 SL理論:上の4つの理論を実践に落とし込むための筋道を与える。
ハーセイら(1977):状況に応じたリーダーシップ
リーダーシップ行動を成員の成熟度によってうまく使い分けていこうとする理論。
リーダーシップ行動には2つの機能がある。
①仕事志向 指示的行動 成員の成熟度が低い場合に前面に出す(教示型)
②人間関係志向 共労的行動 成員の成熟が進むにつれて・・説得型→参加型→委任型へ
4月当初は学級経営をして行動の枠組みを明示する。ある程度安定したら支持を少しずつ減らし、協力協同を協調していく。